Monday, November 9, 2015

男女平等の危機? 〜デンマーク

*デンマークで男女の家事分担について調査が行われた。年齢が高くなるほど平等な分担について賛成意見が多いというちょっと意外な結果となり、18〜29歳の層では43%が「女性の方が家事を多く担当することに問題はない」と考えていることがわかった。

家事分担を進めてきた世代ほど分担に積極的ながら、若い世代がどうしてこういう考え方になっているのか。平等が当たり前になっているので、平等を実現していくことに若い世代は関心がないのだと分析されている。良く言えば「やれることをやる、得意なことをやればいいのではないか」くらいの緩やかな態度になっているとも言えるし、少なくとも「女性が家事をしないのは間違っている」と言っているわけではないので、それほど家事分担をすることが当たり前になっているとも考えられる。

しかし家事もともかく、男女平等は完全に実現されたとは言い難く、給与格差などはなかなか解消されない課題も残っている。平等への関心が希薄になることは、そうした格差の問題の解決が優先事項にならなくなる危険をはらむ。

どんな対策が講じられるのか、注目していきたい。


http://www.avisen.dk/langt-til-ligestilling-ved-koedgryderne-unge-overras_353844.aspx

Monday, August 24, 2015

捕鯨反対グループの入国を拒否 〜フェロー諸島

*デンマーク自治領のフェロー諸島は伝統的に鯨の追い込み漁を行っている。それに反対するグループがここ10数年、何度も訪れては漁民の邪魔をしているため、今回はついに21人から成る団体全員の入国を拒否。

http://www.government.fo/news/news/anti-whaling-activists-denied-entry-to-the-faroe-islands/

捕鯨を行ってきたが今では止めている国々では、鯨を食べたことのある親と食べたことのない子供で軋轢も生じるというくらいの事態が起こっている。「動物のディズニー化」と呼ばれているが、できる限り自給しようという辺鄙な場所では動物はペットではなく、食料だったり労働力だったりするもの。しかし子供たちはディズニー映画を見慣れてきて、動物に対して強いエンパシーを感じてしまっている。

これでは食料供給を輸入に頼る文化にたやすく代わられてしまうという懸念は以前からあったが、その対策のひとつが入国拒否でもある。

それにしても反対グループの人たちがどこから資金を得ているのか、本当に不思議。フェロー諸島まで行くにはけっこうなお金がかかる。

サンタクロースの運命はあと1週間で 〜フィンランド

*フィンランド・ロバニエミのサンタクロースを派遣するディアノルディア社が倒産直前。あと1週間の猶予があるそうだが、なかなか難しい状況らしい。

税金の滞納がおよそ20万ユーロ。これを支払えれば生きながらえるが、ギリシャ、イタリア、ロシアからの観光客が激減したことで収入が大きく減ったことが影響しており、倒産は逃れても回復に至る見込みがついていない。

いちばん確実な回復方法としては一時的でも従業員の給与を引き下げることなのだが、これについてはすでに経営サイドと従業員サイドは決裂。まったく譲歩の見込みもない状態が続いている。

クリスマスまであと4ヶ月。世界中の子供が送るサンタクロースへの手紙はどこへ行くことになるのだろう。

ns.dk/live/erhverv/ECE7957631/Julemanden-er-en-uge-fra-konkurs/

Monday, May 4, 2015

リンドグレーンの日記刊行

*スウェーデンの児童文学者アストリッド・リンドグレーンの戦時の日記が刊行される。

ヨーロッパの終戦記念日となる5月7日、今年は70周年ということでさまざまな企画が発表されているが、スウェーデンでは自国最大の児童文学者が体験を綴ったものの初刊行ということで、これが大きな注目を集めているところだ。

リンドグレーンは戦時中は書簡の検閲の仕事に携わっていた。そのため当時としては非常に多岐にわたる情報を得ていたと考えられる。

刊行は5月7日。あと数日後が楽しみだ。すでに北欧では各国語に翻訳されている。
版元は:http://salikon.se/
   

Tuesday, February 10, 2015

アド・ブロッカーがビジネスモデルを破壊する 〜デンマーク/ノルウェー

*新聞やテレビのインターネット・バージョンを見るときに、アド・ブロッカーをかけると広告が表示されなくなる。これが「無料のコンテンツを見ると同時に広告も見る」という形で収益を得ているメディアには大きな痛手になっている。
デンマークでの記事はこちら:

記事によると、デンマークのTV2ではインターネット・バージョンの読者のうち20%がアド・ブロッカーを使用していると見ており、大きな損害になっていると担当者が語っている。

先週AmazonやGoogleなどの大手がこのアド・ブロッカーにフィルタリングされないよう大金をプログラム制作会社に支払ったというのがニュースになった。これがきっかけになって、広告を見てもらえないことによる損害を各メディアが真剣に考えるようになったようだ。

ドイツではすでに民放RTLが損害賠償訴訟を起こしている。

ノルウェーではVG紙が今年になって、ニュースのタイトルをクリックすると「私たちの自由な報道活動を応援するためには広告収入が必要です。アド・ブロッカーに私たちのページでは広告を許可するよう設定してください」とメッセージが出るようになった。

私は結局許可したので、しなかった場合にどうなるかはわからない。しかしブロックしたのは広告が見たくないというより、時々とても重い動画になっていたり、切り替わりの度に読みにくくなるようなレイアウトがあったたりしたため。

収益のことも気持ちはわかるが、少なくとも見やすいものにしてくれたら、損害もかなり減るのではないかと思うのだが。

Wednesday, January 28, 2015

地域によって異なる青少年犯罪への処罰 ~ デンマーク

*18歳以下の犯罪への処罰が地域によって異なるという調査がデンマークで発表された。
ユラン・ポステン紙記事

ユトランド半島一帯では社会教育指導2年が一般的、シェラン島では3ヶ月の収監。社会教育指導でも、場合によっては施設に入ったり、ある程度監視や規則のある専用住宅で暮らしたりと、完全な自由にはならないのだが、刑務所に入るよりは効果があると考えられている。社会教育指導は、犯罪事件を起こす青少年の大半が社会適応がうまくできてないためだという考え方から始まっているためだ。しかし実際に処罰を受ける青少年の中には、短くて済む刑務所への道を選ぶ子もいないわけではない。

それにしても地域によって格差があるとすれば、居住地や裁判所の場所次第で刑罰が違うということになり、一貫性がなくなる。そのため法務大臣は原因調査を命じたが、配下のアドバイザーたちは犯罪の度合いが地域によって異なる可能性も否定していない。

Tuesday, January 27, 2015

人気の名前 2014年度 ~ ノルウェー

*2014年に生まれた子供たちの名前でもっとも人気の高かったのが、女子はノーラ(Nora)、男子はルーカス(Lukas/Lucas)。

Topp ti, jentenavn og guttenavn 2014
NummerNavnAntallPer 1000
Jentenavn   
1Nora/Norah43414
2Emma41814
3Sara/Sarah40413
4Sofie/Sophie38813
5Emilie35812
6Anna32711
7Linnea/Linea32611
8Thea/Tea32310
9Maja/Maia/Maya32310
10Sofia/Sophia31510
    
Guttenavn   
1Lucas/Lukas44814
2William43814
3Markus/Marcus42313
4Emil41913
5Oskar/Oscar38912
6Mathias/Matias38212
7Magnus37712
8Filip/Fillip/Philip37212
9Jakob/Jacob37111
10Aksel/Axel36311

一覧を見てみると順位はともかく、バリエーションとしてはそれほど変化はないように思える。このあたりはけっこう保守的とも言えるが、男子は国際的に読みやすい名前が増え、昔ながらのTarjeとかArneのような名前は出て来ていない。そういえば時折、名前を登録するような場でやや高齢の人たちが受け付けたりしていると、「これってノルウェーの名前?」と不満げな感じになることもあったりする。いわゆるノルウェーっぽい名前が出てくると「ようやくまともなノルウェーの名前が出て来た」と喜んだりするあたり、どこの国も程度の差はあれ、新しい傾向には馴染みにくいところがあるのかも。

女子の方はもとからそう読みにくい名前が多いわけではないが、シンプルで北欧ならではのLinneaや、どこの国でも絶対にあるAnnaなどが毎年同様入って来ている。ただスペリングにはちょっと凝る傾向は出て来ているようで、SofieにSophieをあてたり、マイヤに3種類の書き方があったりする。

かつては「この名前ってことはだいたいこのくらいの年齢だな」と想像がついたものだが、最近ではトップの名前に人気が偏るということもなくなってきた。それはそれでちょっと寂しいものだ。