Monday, June 29, 2009

謎めいたドーピング・スキャンダル ~スウェーデン

*スウェーデンで「クリーン・スポーツ」キャンペーンの代表となっている元サッカー・ナショナルチームのマグヌス・ヘードマンが、ドーピングの疑惑をかけられている。

5月13日、彼は運転中に警察に止められる(ここはやや不明ながら、飲酒運転のチェックと思われる)。そして事情聴取の際に尿・血液サンプルが採取され、アナボリック・ステロイドが検出され、ズボンからはアナボリック・ステロイド・スタノゾロールを含む錠剤55錠が見つかった。

ところがヘードマンには、現時点ではアナボリック・ステロイドを摂取する意味がない。ナショナル・チームで最後にプレイしたのが2004年、現在はスポーツ活動はまったく行っておらず、ジムにさえ通っていないという。
ただ栄養補助として、アメリカ製の錠剤を服用。ヘードマン自身は、この栄養補助剤にステロイドが含まれていたのではないかとしている。

スウェーデンではスポーツ選手のドーピングは1991年から刑法上の犯罪。またステロイド剤の乱用も犯罪と規定されているが、スポーツ連盟が処罰を行い、一般の裁判手続きは行われない。

ヘードマンは今後どうするかをまだ検討中だが、意識的なステロイド乱用を認めて罪状がつくことは絶対にしたくないと言っている。「クリーン・スポーツ・キャンペーン」はヘードマンを代表から下ろすことにほぼ決定した。

Sunday, June 28, 2009

いじめ減少、けれども ~ デンマーク

*デンマークの小中学校で、いじめ防止対策の効果がようやく現われてきた。4年生から9年生を対象に調査を行ったところ、「過去2ヶ月にいじめられたか」の問いに対し、「はい」がこれまで16%だったのが、今回は11%に下がった。しかし「ハードコア」と呼ばれる、毎日いじめに遭う子供の数には大きな変化がない。これが今後の課題として残された。

コペンハーゲンの学校での試みは、上級の生徒が下級の生徒たちを「調停する」という方法。8年生、9年生の最上級学年が対象の場合、問題が複雑すぎる場合には、成人の調停者が事にあたる。いじめ、対立が生徒間に生じた場合、担任教師が当該の子供たちに調停を望むかどうかを尋ね、望む場合に調停人となる生徒が登場することになる。

この方法に効果があったことは今回の調査に現われているが、調停人を介して話し合うことができるくらいなら、いじめることの理不尽さも多少の時間をかければ理解できるだろうと思われる。デンマーク人の家庭であれば、おおよそこうした「話すこと・話し合うこと」の訓練はできているようだが、そうでない場合にも効果はあるのだろうか。

先日、外国出身の少女が他の外国出身の少年少女に身体的な暴力を振るわれる事件が起きた。この事件では少女の母親が「デンマークにいるというだけで、デンマークの行動規範を学んでいる子供ばかりではない。その子供たちの背景となる文化も踏まえた上での方策を考えるべき」と訴えている。