Tuesday, December 23, 2014

自閉症児の不登校問題 〜デンマーク

*デンマークの自閉症協会が、自閉症の子供の不登校問題に懸念を表明している。http://jyllands-posten.dk/indland/ECE7312552/For%C3%A6ldre-holder-skoleb%C3%B8rn-hjemme/

自閉症スペクトラムの子供たちに特別教育を望む声は以前から強かったのだが、現在は統合教育の一環として、一般の学級に通っている。子供たちが行きたがらないのもともかく、両親も学校に行かせることが良いことではないと感じて、不登校を容認。協会の調査では、160家族のうち30家族の子供が数週間から数ヶ月、不登校になっているとのこと。そのうち9人は1年以上学校に行っていない。

この春、自閉症児とその親についての番組に携わったが、私の担当した家族では幸いそういう問題はなかった。同じように統合教育を進めているノルウェーだったので、やはり普通の学校に通い、特別クラスで自分のペースで身の回りのことや読み書きなどを学んでいた。しかし地域によってはそれだけの指導をできる教師の数が不足。どこでも満足なレベルで学校に通わせられるわけではないという。

上記の記事を見ると、特別学級では落ち着いていた子も、普通級ではいろいろと苦労があって不登校になっているケースが多い。通学そのものが子供を傷つけるという両親の意見は、これからどう反映されていくのだろう。

Tuesday, December 16, 2014

DN紙のアドベントカレンダー 〜スウェーデン

*スウェーデンのダーゲンス・ニーヘーテル紙で公開されているアドベントカレンダーがこのところ毎朝の楽しみ。

日付のところをクリックすると、クリスマスにちなんだ詩や童話、小説の抜粋や紹介が表示される。12月1日のムーミンから始まり、歌や詩の朗読を耳でも楽しめるように続いている。

DN紙のアドベントカレンダーはこちら

Monday, December 15, 2014

トップに女性がいない理由 〜ノルウェー

*男女平等では国際的に高い評価を受けているノルウェーだが、国営企業のトップに君臨する女性はゼロ。トップレベルに広げてみても、ノルウェー銀行はゼロ、スタッツオイル社で9人に1人、他の国営企業でも11人に2人、7人に1人と、現在目標とされている40%にはとても届いていない状態だ。

しかしこれは男女差別がいまだにあるからというわけでもない。現状だけを見ると、子供が複数になるとキャリア上昇をやめる女性が増えてくるのだが、それはなぜかということをダーゲンス・ナーリングスリーヴ紙が解説しているhttp://www.dn.no/meninger/kommentarer/2014/12/14/2059/Endelig-mandag/verdivalgets-kval

子育ては女性の仕事という観念があるわけではないのだが、女性が自ら育児や家庭に時間を使いたいと思う傾向があるという。そしてそれは女性の経済的自立が、自らの収入で夫に介入されずに好きなことをする自由が欲しいというところから始まっているためではないかとされている。

つまりある程度の収入があれば、そこで好きなことを選択したいと考える女性が男性よりも多いのではないかということだ。そしてその背景として、仕事に行き詰まったとき、女性が仕事を辞めるのは社会的に許容されるが、男性の場合は難しいこと。また経営陣としてトップレベルでいるためには、そのことだけに邁進するようなタイプが好まれていること(なので仕事も趣味も家庭も、というようなタイプは好まれない)も挙げられている。
男性は女性ほど、得た収入で好きなことをしたいという気持ちが少ないらしい。これはまた男性が抱える定年後の社会生活への問題にもつながる。

高学歴女性が増加し、企業の中間管理職には増えつつあるとはいえ、トップを目指さない女性たちがいることはずっと不思議に思われていた。しかし自由を得るために経済的自立を目指すのであれば、自立できた段階でどんな生活をしたいのかを選ぶこともできる。これまでの分析とは違う視点。興味深い。

Monday, October 20, 2014

育児現金給付受給者の80%が移民

*北欧では託児所に子供を預けず、自分で面倒を見ている場合には現金での給付がある。これは女性が働く意欲を削ぐものとして長いこと批判の対象になっているが、託児所さえ確保できれば働き始める女性が多く、この給付された現金も、託児所ではなくベビーシッターへの支払いに回して、パートタイム就労をする母親たちがほとんどだ。

が、やはり固定的に給付を受ける数は、減少するどころか増加する傾向にある。デンマークもそうで、今日のユラン・ポステン紙では「受給者の80%が移民」という記事が掲載されている。
http://jyllands-posten.dk/indland/ECE7124090/80-pct.-af-alle-%E6gtepar-p%E5-kontanthj%E6lp-er-indvandrere/

受給者が増加して就労人口が減少、ひいては税収も減少、という傾向を恐れ、とにかく教育を受けさせることが解決方法、と提示されてはいるが、本当にそうかなという気もしないではない。

というのは移民、あるいは移民家族としてやってきたという背景のある人たちの場合、食事からして北欧の一般とは相当違う。一品作ればそれでよし、という国から来た人たちばかりではないし、宗教的な制限もあって、菜食だ、ハラルだ、と買い物ひとつ、作り方ひとつでも手間のかかるケースも多い。ある移民家庭では、米粉のパンケーキみたいなものを焼くのに豆を発酵させたりしていたが、発酵具合を見ながらの作業だったりするので、こんなことをしていたら、まあ外に働きに行くのは難しいだろうなあと思う。

教育を受けたら、それが何か変わる方向に行くのだろうか。こんな面倒な料理をするために生まれてきたわけではない!と思うに至ったとしても、結局誰かが作らないとやっていけない家庭がほとんどじゃないかと思うが。

Wednesday, September 10, 2014

糖尿病改善に効果あり

*インターバル・ウォーキングを1回1時間、週5回実行すると、糖尿病の症状が改善され、場合によっては全快もあるという研究調査が発表された。
http://jyllands-posten.dk/livsstil/sundhed/ECE7015794/diabetes-kan-gas-vaek/

デンマークで糖尿病に悩む人々の数は約30万人。この10年で2倍の増加を見ている。しかも医療費としては全体で1日86000万クローネがかかるということで、国としてはなんとしてもこれ以上患者を増やしたくないところ。

食生活に気をつけながらもなかなか改善しなかったところにインターバル・ウォーキングを採り入れて、10年に渡ってインシュリン投与をしなくて済んでいる人もいるそうだ。

研究者たちは、インターバル・ウォーキングを楽に実行するためのフリー・アプリケーション"Inter Walk"も開発した。これまではアップルストアからのみ入手可能で、すでに1万5000人が利用しているが、今日からはGoogle Playからもダウンロード可能になる。

Thursday, September 4, 2014

ノルディック複合・初の女子大会

*先週末にドイツ・オーベストドルフで史上初の女子ノルディック複合競技の試合が行われた。

http://www.fis-ski.com/news-multimedia/news/article=step-into-the-future-for-nordic-combined-with-first-ladies-competitions.html?utm_source=newsletterFlashFromFisSki&utm_medium=email&utm_campaign=20140904

いまだにジャンプ競技で男子・女子と記述するのを忘れがちなのだが、今後はノルディック複合も女子を念頭に置かなくては。

選手数がどれだけ増えるかが懸念されるが、運もあってのジャンプの結果を走って取り戻せるノルディック複合は、本当に魅力ある競技。たくさんの少女が目指すようになってほしい。



Tuesday, August 19, 2014

史上最年少でナショナルチーム入り

*16歳にあと100日あまりというところで、マッティン・オーデゴールがサッカー・ナショナルチーム入り。

史上最年少のようだが、それより何より、ノルウェーには以前には「18歳前にはナショナルチーム入りさせない」という不文律が、どの競技においても貫かれていた。

最初の例外はスノーボードのタリエ・ホーカンセンで、16で世界選手権に出場したときには「まだ早すぎる」と懸念される声がずいぶんと上がった。技術的な問題ではなく、あまりに早くスポーツに特化した生活を送ると、人格的な成長が阻害されるのではないかと思われてきたというのがある。

こう考えられてきたから、フィギュアスケートや体操のような、できれば体が小さいうちの方がいろいろな技に取り組みやすい競技が弱い。関心がないと言っても言いすぎではないかもしれない。

ずいぶんと考え方も変わってきたものだ。今後は他の競技にも、この傾向は広がっていくのだろうか。