Monday, December 21, 2009

IT用語もノルウェー語で ~ノルウェー

*ノルウェー言語審議会がIT用語のノルウェー語案を作成中。とめどもなく氾濫してしまった英語、というより、コンピューターやITが日常生活に入ってくるスピードが速すぎて、ノルウェー語での表現を考えるのが間に合わなかった、という感じもしないでもないが、確かに数年前まではE-postと呼ばれていた電子メールが、最近ではMailと呼ばれたり、ショートメッセージもTekstmeldingだったのがSMSが普通になったりと、英語化が進んでいることも事実だ。携帯電話やインターネットが一般化し始めた頃から使っている人たち(つまりだいたいは30代後半~40代)はいまだにノルウェー語寄りの表現に頼ることが多いが、その頃子供だったノルウェー人以降はだいたい英語をそのまま単語だけ使う傾向にある。

 が、ノルウェー語にしないといけない、という動きは、単純に外国文化・外来語フォビアというわけではなく、文法上面倒なことが多いからでもある。たとえば電子メールでE-postなら、複数形にするにしても限定形にするにしても(北欧語の特徴として、語尾に-en/-etをつけて限定形にする)Postという言葉がノルウェー語として定着しているので決まった形があるが、Mailはそうではないので、人によって変化のさせ方が違ったりする。ドイツ語では外来語は中性名詞、というのが原則だが、ノルウェー語では特にそういうわけでもないので、Mailは共性名詞でEn Mailということになるが、だったら複数形はerがついてMailerとなるか、といなると、言いにくいせいなのか、言う人と言わない人がいたりする。どうもしっくりこないと、たぶん複数形は単数形と同じ、ということになっていくだろうと思うが(過去の例:Walkmanの複数形はなかった。ウォークマン2個、という場合には et par Walkmanとか2 stykke Walkmanになる。まじめに変化させると、manなのだから、複数形はmenになるわけだが、WalkmenがWalkmanの複数形だと認識するのはちょっと厳しい)。

 名詞はまだまあ最初に?と思ってもなんとなくわかったりするものだが、動詞+名詞というのもある。ある名詞にはこの動詞を組み合わせるというコロケーションは動かしにくいもので、たとえばサポートを受ける、という場合、「ヘルプ」にあたりHjelpを使うなら動詞はfaa、しかしサポートをそのままsupportと言う場合(最近多い)、faa, ta, ha、どれでもおかしくないが、微妙に意味が違って聞こえるのに、実は別に差はない、というようなことが起こる。

 言語審議会では3人のスタッフを中心に、各業界から代表者を集め、約50人で現在IT・コンピューター分野におけるノルウェー語の検討を進めているが、第一段階のはじめとして例に挙げているのは以下のとおり:

Direkteavspilling  ストリーミング

Nettpratチャット

E-post メール

Punkt/punktum  ドット

Omvendt skråstrek バックスラッシュ

Nettlogg, nettdagbok ブログ

Kyber  サイバースペース

Nettforfølgelse, nettsjikane, netterror サイバーテロ

Nettside ウェブサイト

Nettskredder, nettsidearkitekt ウェブデザイナー

Wednesday, October 21, 2009

報道の自由ランキング

 国境なき記者団(Reporters Sans Frontieres)の2009年度報道の自由度国際ランキングで、北欧4カ国が1位に並んだ。

 確か何か別のランキングではデンマークが1位、ノルウェーが2位だったと思うのだが、今年度はそういうわけでめでたく4カ国がトップ。最後の1国であるアイスランドは9位。

 報道の自由は北欧でも非常に重視されてはいるが、好き勝手にやっているわけではない。各国ともプレス協会やジャーナリスト協会が自主的に報道検証したり、憲章を作ってそれを遵守する「誓い」があったり、自主規制が強い。総じて北欧人は政府や法律で規制されるのを嫌う傾向があるので(そのわりには生活ではさまざまな公的機関の介入もあったりするのだが)、政府に問題視されるよりも自分たちで道を正していく方がよいと考える。だから自主規制は不自由なのではなく、自由を守るためには当然のことと考えている。

 報道・発表の自由度は昔から今に至るまで高いのは確かだが、取材については昔よりもだいぶ厳しくなった。人権、人格権、肖像権、知的所有権などの法律が強化されているのもあるし、セキュリティ面での規制も強まってきている。たとえば王室の衛兵交替は昔は普通にふらりと行って撮影しても問題なかったが、最近ではある程度の大きさのカメラの場合にはセキュリティ確保のために事前申請が必要になっている。なぜかデンマークでは三脚を置くのはだめ、というような規定もある。ただほとんどの場合、一定の手続きを踏めば問題ない。取材させないために規定を設けているのではないところはありがたい。

報道の自由度ランキング トップ20

Rank Country     Mark
1 Denmark 0,00
- Finland 0,00
- Irland 0,00
- Norway 0,00
- Sweden 0,00
6 Estonia 0,50
7 Netherlands 1,00
- Switzerland 1,00
9 Iceland 2,00
10 Lituania 2,25
11 Belgium 2,50
- Malta 2,50
13 Austria 3,00
- Latvia 3,00
- New Zealand 3,00
16 Australia 3,13
17 Japan 3,25
18 Germany 3,50
19 Canada 3,70
20 Luxembourg 4,00
- United Kingdom 4,00
- United States of America 4,00

Monday, October 19, 2009

北欧のパンが変わる

*今日はパンの話題がノルウェーとデンマークの新聞で採り上げられていた。北欧のパンが変わりつつあることがよくわかる。

 ノルウェーではオスロで最高のパンのコンテストがあり、優勝はサンフランシスコ・サワードウ・ブレッドを焼いているベーカリー。見た目は古きよきノルウェーのパンとはまるで異なって、おしゃれな感じではあるが、何か寂しい。普通に家で焼いて食べていたような、全粒粉のしっとりした感じのパンの人気は下がり気味なのだろうか。最近ではホテルでも、このタイプのものでおいしいものにはお目にかかれなくなってきた。

 デンマークではいわゆる「白パン」の需要が激減しているため、10年後にはなくなるのではないかというベーカリー協会の見通し。白パンはすでに焼いているベーカリーが少なく、注文は高齢者施設からが主体という状態だそうだ。

 デンマークのこの傾向は完全な健康志向から来るものだが、もともとデンマークはライ麦や雑穀入りのみっしりしたパンが中心で、白パンはお祝い事によく使われてきた。パンに載せて食べるものを考えるとわかるのだが、ニシンの酢漬けやしっかりしたハム、ローストビーフなどはパン自体がしっかりしていないとバランスが悪い。白パンはエビ(それほどではないが、贅沢な食材ではある)などあっさりめに塩ゆでしただけの海産物を載せて食べたりしていた。

 普段の雑穀パンの代わりに小麦だけの真っ白なパンを食べるというのは慎ましい時代の贅沢だったわけだが、この「白」の度合いがそれほどでなくても別にいいではないか、という感じの昨今。ほうれん草入りだのハーブ入りだの、さまざまな工夫を凝らしたものが店ごとにあって、これはこれで楽しいのだが、やはりちょっと寂しい。

 全体で言えば、10年前に比べたら、北欧の食生活はバラエティが増えて、そして贅沢になってきたとは言える。コーヒーもカフェラテ人気だし、菓子パンも大きくなったし、各国のさまざまなレシピが広まって、フランスパンやイタリア風のパンの焼き方をすてきな写真と共に解説する本も多種出ている。サンドイッチと言えば、薄切りのパンにチーズなどを載せたものくらいだったのが、バゲットサンドの方が今は多いくらいだ。その具にしても、いろいろと工夫を凝らしていて楽しい。

 が、やはりいるところにはいるもので、こうしたバゲットサンドの店に入って「いちばんノルウェーっぽいの」などと注文するおばさんたちもいる。たぶん私と同じ年頃なんだろうな。

 

Saturday, October 17, 2009

4自治体でヘロインを無償に ~デンマーク

*数ヶ月先のことになるが、デンマークのコペンハーゲン、オーデンセ、グロストロップ、エスビヤォ4自治体のヘロイン・クリニックで、中毒患者に無償でヘロインが与えられる制度が試行される。

中毒・依存症の立ち直りに不可欠とされる社会との接触がまるで欠けてしまっている患者たちに対し、少なくとも一般社会で暮らせるような状態を医師の処方箋でヘロイン補助しながら訓練し、最終的にはなんらかの仕事に就いて独立して生きていける状態にすることが目的だ。副次効果として、ヘロイン購入のために犯す窃盗や強盗などの犯罪も減少すると見られている。

この制度の倫理的側面については反対意見も多く、麻薬依存撲滅協会では「患者には麻薬なしで生きていけるようにすることが第一のはず。この制度は一般市民の安全を重視して、患者本人の人間性を軽視している」とコメントしている。

北欧には麻薬依存そのものも問題だが、ブラックマーケットがあることの方が大きな問題だと考える専門家が少なくない。利用者は登録するなり何なりして、薬物を政府が専売で管理、治療プログラムも並行して行うという方法が推奨されたりしている。中毒者の人権に関しても、賛成派はヘロイン中毒者でも価値ある人生を送っているという実感が立ち直りに必要なはずだし、そのために管理された形でヘロインを与えながら安定した生活が送れるのはよいことではないかと考え、反対派は上記のように、ヘロインを少量ながらも投与し続けたら依存状態からは一生抜けられないのではないか、依存している限り、人生に自由はないのではないかと考える。

それにしてもデンマークは相変わらず実験的だ。世界に先駆けてポルノ解禁し、ゲイのパートナー登録(実質的には結婚)を認め、とやってきた国だけのことはある。ポルノ解禁のときには「デンマーク国民は解禁したからといって流されないくらいには文化的に成熟している」と担当大臣が言ったそうだが、今回はなかなか難しい。北欧の中では唯一ヨーロッパ大陸にあるデンマークは、これまでも麻薬取引をめぐって犯罪グループが激しく暴力的に対立しあうこともあったから対応を迫られているには違いないが、果たしてどんな結果になるのか。

ブロードバンド利用の権利を法制化 ~フィンランド

*ブロードバンド利用の権利がフィンランドで法制化された。高速インターネットの利用が水道や電力と同様の、生活に欠かせない権利として認められたことになる。

 すでに5年くらい前から、銀行の窓口で送金するのとオンライン・バンキングを介するのでは手数料に大きな開きができ、タンペレ市などではPCを持たない人のためにインターネットに接続したPCを載せたバスが巡回していた。実際の生活で料金的な格差ができている以上、誰もがもっとも安い手段を利用できるようにするのは当然のこと。

 そして早くからブロードバンド敷設を人口には見合わない地域で導入もしているが、そうした地域では産業振興プロジェクトも起こし、EU各国と翻訳業務ネットワークを構築したりして若い夫婦などの人口流入を促進し、同時に遠隔医療サービスも行えるようにして、社会福祉サービスの面も補強してきた。そうした地域は人口的には「過疎」でも、若い世代が少なくないために子供もけっこういて、衰退していくような様子には見えない。効率的に計算すればブロードバンド利用可能なインフラの敷設は無駄にも見えたが、それなりの効果はあげている。

 フィンランドは大きな山や谷はないが、湖が各所にあり、人がまったくいないであろうと思われるような場所も少なくない。現在すでに人口の95%へのブロードバンド普及率だが、あとの5%はなかなかたいへんだろう。湾に散在する群島などもたいへんだろうと思う。

 普及していることは実感できるし、ホテルでもインターネット接続が無料のところが多いのは助かるが、それにしてもときどき、恐ろしく遅くなることもある。よその国の話ではあるが、できればこのあたりも改善を…と望む次第。

Thursday, September 10, 2009

マーグレーテ2世女王が映画出演 ~デンマーク

この日曜日に封切りとなるデンマークの新作映画「野の白鳥」が国内で大きな注目を集めている。背景やコスチュームにはマーグレーテ2世女王が大きく関わったということで、これまですでに評判になってはいたが、さらに女王自身がこの映画に出演もしていることが発表されたため。

もともとマーグレーテ2世女王の趣味は美術で、これまでにもクリスマス切手のデザインを手がけたり、自身の水彩画で展覧会を開いたりしてきた。この映画の制作では水浴シーンで使う花々を手ずから効果的に直したりしている写真も公表されている。

出演しているのは主人公エリサが裁判にかけられるところを見に来た群衆の一人の老婆として。群集に紛れて立っているわけだが、写真を見ると背も高く姿勢もきれいで、単なる老婆には見えないところがご愛嬌。
http://multimedia.jp.dk/archive/00194/dronningen_p__film_194573e.jpg
(この写真の左から三人目がマーグレーテ2世女王)

一度非常に近くでマーグレーテ2世女王を見たことがある。とにかく背が高いことに驚いたが、昔のデンマークでは貴族は背が高く、農民階級は背が低いという傾向にあったそうで、背が高いことが「高貴」なイメージと結びつきやすい。それを体現するような女王の姿ではある。

Saturday, September 5, 2009

ヘルプを受ける障害者が雇用主 ~デンマーク

*障害者が生活介助を受ける福祉サービスにおいて、2009年1月から障害者が雇用主の立場になることになった。それを受けてデンマーク産業連盟・雇用主連盟と厚生関連職業連盟(FOA)が合意、障害者生活介助の仕事に就く人たちも、この合意による給与と労働条件が協約として成立した。

今年1月から施行されているBPA法(Borgerstyret personlig assistance)ではサービスにおける雇用主としての障害者の責任が明確ではないため、生活介護者の労働条件や給与については自治体が処理していた。が、実際にサービスを受ける障害者と生活介助者の意見が合わないときには問題も生じていたため、FOAと雇用主連盟で調整を図ることになったそうだ。

障害者側は雇用主としてこの労働基準を確保する責任ができ、生活介助者はたとえば疾病で働けないときの補償ができたことになる。

こうして条件が規定されたおかげで、介助者の講習や指導も計画しやすくなり、労働条件が明確になったことでこの仕事に就く人も増えるはずと職業連盟は見ている。職業連盟と雇用主連盟が生活介助者の労働基準で合意したのはこれが初めて。制度ができてから30年にしてようやく、とFOAは喜んでいる。

障害者の雇用主としての責任は大きくなるが、その分、生活介助者の仕事の質が高くなり、よりよいサービスとして返ってくるはずだ。

BPA法については:http://www.ism.dk/Temaer/sociale-omraader/Handicap/Hjaelp-og-stoette/Hjaelpeordningen-BPA/Sider/Start.aspx

Monday, August 31, 2009

選挙を控えて ~ノルウェー

*ノルウェーでも国政選挙がもうすぐということもあって、選挙運動をいろいろと見る機会があったのだが、いちばんよいと思ったのは、選挙カーがなくて、常時それぞれの政党が、たとえばオスロならカール・ヨハーンスガーテ通りに常設ブースを置けることだった。

選挙カーはうるさいし、キャッチフレーズを連呼されても政策がわかるわけではないので、以前から大嫌いであった。高校のときは音楽の先生が、その腹式呼吸の最大限を利用して選挙カーに「日本の将来を本気で考えてるなら、学校の授業の邪魔するな!」と叫んでくれたので、けっこう3年間は静かに過ごせたし、実家を訪れる革新連盟の方々も静かに徒歩で来てくれていたので、とにかく私は騒音的な選挙カーが嫌いなまま今に至る。

ノルウェーは上記のように、決められた期日から決められた場所にブースを設置でき、そこにいつも党員がいる状況になっている。政策に関して質問があればそこで聞けるし、応援するつもりでそこにいることも可能。新聞は今年は進歩党が文化予算削減を訴え、それに新聞も組み込まれている状況からして、ちょっとやりすぎではというくらい進歩党の政策を新聞で分析していたが、それも悪いことでなない。が、それについて選挙民が直接、進歩党に質問できる状況が町のどこにでもあるからOKなんで、報道が一方的に有利なら、これはこれで問題なはず。

こんなときでもなければあまり機会には恵まれないのだが、首相が普通に道を歩いているところが見られたのはちょっと嬉しかった。かなり顔がこけていたので、いろいろご心労もおありだろうと察する。ノルウェーは今すぐにどうかしなくてはならない問題はないように見えるけれども、細かく言えばいくらでもある。アフガニスタンからの撤兵、失業問題対策、公共交通問題、犯罪者対応…

9月14日が選挙だ。普通なら90%を超える投票率。それに至るまでの各党の党首とのチャットを企画する新聞社も多数ある。政治を任せるのではなく、自分の意見を国会に持っていく人を選ぶ選挙だから、事前が本当に忙しい。それを見て学べることは、選挙権のない自分にもいくらでもあると思っている。

Friday, August 21, 2009

ノルウェー人生徒が少数派 ~ノルウェー

*新しい年度が始まろうとしてるノルウェーの小学校。オスロでは今年、一人も純粋なノルウェー人が入学しない小学校が現れた。

 オスロに暮らす外国人の多くは過去に労働移民としてやってきた家族や難民としてノルウェー市民権を得たりしたケースが多いが、最近では旧東欧から職を求めてやってくる家族もいる。そうこうしているうちに、地区によっては小学校に通う子供の97%が民族的に非ノルウェー人となり、ノルウェー人がマイノリティとなっている学校は、オスロ全125校のうち52校にまで増加。さらにノルウェー人率の低い学校からノルウェー人生徒が転校していくという現象が起きている。

 転校していく子供の両親は、決して人種差別をしているわけではない。ただ自分の子供たちに宗教や生活倫理、価値観などが共有できる友人やクラスメートが少ないのはマイナスだという考えだ。

 おもしろいのは、民族的に非ノルウェー人である両親たちも、ノルウェー人生徒がマイノリティになるのは望むところではないとしていること。子供たちはノルウェー語で暮らし、将来もノルウェー語を基礎に仕事をしていく。ノルウェーに暮らす限りはノルウェーの文化も道徳も身につけなくてはならない。ノルウェー:非ノルウェーであれば多数派になる彼らも、その中でそれぞれの民族に分ければマイノリティになるため、学習現場では言語的にも文化的にも、ノルウェー的に不十分、そしてたとえばインド的にも不十分、ということになりがちだからだ。

 「せめてノルウェー人生徒の割合は50%」という声がどちらの側からも上がっているそうだが、とても対応できる状況ではないため、オスロ市では学校を地区制限なく選択できるようにしている。

Sunday, August 16, 2009

最近気に入っているもの

*どこの国のスーパーに行っても、あまり代わり映えなく同じようなミントやキャンディーだなと思う今日この頃なのだけれども、そんな中でその国のその店でなければ買えない、というものが見つかると、本当にうれしくなる。

筆頭はデンマークのIrmaというスーパーのIrmaマークのラクリス・パスティッラー。日本では好まない人も少なくはないラクリス(甘草)とミントを組み合わせたノンシュガーの平たい小粒。ノンシュガーにありがちなちょっと頼りない感じはあるが、ラクリスといえばグミみたいなものが多いので、それとは異なるしっかりした感じがいい。容器も小さな金属の缶で、ポケットにすんなり入る手ごろな大きさ。これにIrmaのシンボルである少女があしらわれていて、いかにもIrmaでしか買えません、という風情にそそられる。

それからノルウェーではDeliというコンビニのような店においてあるLuca's After Coffee Mintのシナモン味。これはたぶん北欧以外の国なら簡単に見つかるようなものなのかも。が、とにかくこれしか「シナモン味」というものがないので、私はノルウェーでは必ず買っている。上記のIrmaラクリスよりさらに小粒でさらにはかない味だが、シナモンの香りは気分よく味わえる。
容器は暗赤色でペリカンのイラスト。この色もとても好きだ。握ったら手の中に隠れてしまうような細長く小さなサイズもいい。

シナモンといえば、北欧ではなくてイタリア・トリノで買った砂糖粒のようなLeoneというメーカーのものがとても気に入っていた。箱のデザインもクラシックでかわいらしい。こちらはノンシュガーではないので、かなり味がしっかりしているが、シンプルなのであきない。舌が軽くしびれるくらいにはシナモン、という感じがある。こちらは最近、自宅近くで扱う店が出てきたので問題なし。

菓子類の工夫や新製品では日本にかなうところはないだろうなと思うけれども、パッケージ重視で行けば、北欧にもヨーロッパにも、いろいろいいものはある。中身を食べなくちゃいけないのがちょっと難点なものもあるが。

Sunday, July 26, 2009

デンマーク人の誇るもの ~ デンマーク

ユラン・ポステンが行った「デンマーク人として自国を誇りに思うことは」についての調査結果が発表された。
記事原文はこちら。

「それは王室でもなく、文化でも自然でもない」と記事に副題がついている。デンマーク人がもっとも誇りに思うのは、福祉社会であり、民主主義の実践だ。

右がユラン・ポステンの調査結果だが、
福祉社会 26.2%
民主主義 21.8%
その他   20.2%
文化    7.2%
平和な生活 6.2%
誇るものがない 4.5%
王室     4.3%
デンマーク国旗 3.6%
寛容さ   2.9%
自然    1.7%
機嫌のよさ 1.4%

世界最古の王室とされるデンマーク王室がデンマーク人の心のよりどころになっているだろうと調査前には想像されていたようだ。が、それよりも自分たちで作り上げ、維持している福祉社会や民主主義の方を誇りに思うデンマーク人は、またいかにもという感じがする。高福祉社会にせよ、民主主義にせよ、誇りに思う基本となっているのは「国民が関与して改善していける」という点だそうだ。

それにしても「その他」は総計で20%を超えているのだろうけれど、何を挙げたのだろう。

Tuesday, July 21, 2009

テレマルク大作戦 ~ノルウェー

久しぶりに「テレマルク大作戦」を見た。昨日夜にドイツの放送局で放送された。

実際にあった、リューカンの重水工場サボタージュ事件を元にした映画で、撮影場所もテレマルク地方の
リューカンが中心になっている。主人公の教授が出てくるシーンは最初はオスロ大学。ただオスロ大学のあの校舎は法学部が使用しているはずだが。

そのほか気になった点は:
・アンナのセーターの柄がちょっと雑すぎる。もっときっちり模様を編みこむはず
・断崖をスキーでジャンプして着地するときに、足がほとんど揃っている。この時代のビンディングは、こうした着地をすると衝撃ではずれてしまったはず。
・ストックを2本使っていたが、仲間のテレマルク出身者は本来なら棒1本で滑るんじゃないか。教授にそれをやれとも思わないけれど。

テレマルクの雪の中はともかく、オスロの中心街でも、今の冬のノルウェー人とあまりファッションに差がないように見えたところがおもしろかった。アノラックはみな木綿だったようだ。今でもそのタイプを売っていないこともない。南極探検時に使われたアムンゼン・モデルというのがあるので、それが延々と最新のテキスタイルになって受け継がれているからだ。

それにしても、ドイツ兵たちと会話をするシーン、原版で見ても英語だから判断できないだろうけれど、本当は何語で会話していたのだろう。当時のノルウェーはドイツ語を話せる人は相当数いたということだが、静かな反抗ということで、あえてドイツ語は話さなかったと言われている。尋問ではノルウェー語を辱めるからと、望んでドイツ語を話した人たちもいたそうだが。


Sunday, July 12, 2009

教育現場に大きな変化 ~ ノルウェー

*ノルウェーの小中学校では、4人に1人が必要な補助を受けられていないという調査が教育改善委員会から発表された。これには学習の遅れから特殊教育に至るまでのすべてが含まれている。

 ノルウェーは1992年に統合教育実践を採択し、視覚障害・聴覚障害・言語障害以外の養護学校を閉鎖した。そのため、どの学校にも障害のある児童がいると言ってもよいが、身体障害の場合には建物自体に不備のあるところが大半で、知的障害児の授業・指導も十分とは言えないとされた。また採択時にはそれほど意識されていなかった発達障害児童については、最近になって民間の特別支援学校が設立されてはいるが、そこでも専門の教育を受けてきた教師やスタッフが不足しているほどなので、全国規模で見れば、各校に十分なエキスパートを配置できないのも当然と言える。

 それだけでなく、難民として受け入れられ、生活している児童の言語、ノルウェー文化への理解も十分とは言えないとされ、加えて学習進度に遅れが見られる場合の補習も完全とは言いがたいと調査では結論された。

 そのため、個々の児童に不足しているものは何か、何を補うべきかを、学校ごとにきちんと対応していくよう教育法が改正される。担任教師、養護教諭、および自治体の他の福祉サービス機関とも連携するカウンセラーが話し合いして企画していくが、医学的な見地からの意見を必ず取り入れるようにというのが、改正委員会の提案に盛り込まれている。

 この改正案以前には、小さな村の複数の小学校が統合されて、地元の学校に通えない生徒が増えているという不満もよく採り上げられた。しかし教師の数も一気に増やすわけにもいかないし、専門知識を速成するわけにもいかない。細やかな指導をしていくためには、ある程度の集中化もしかたないのかもしれない。

Wednesday, July 8, 2009

子供に死を教える本 ~デンマーク

*デンマークで、児童心理医2人が「マーティンのおじいさんが死んだとき」という児童書を出版した。マーティンという子供が、祖父が倒れ、入院し、ケア施設で過ごしつつ亡くなり、葬式に参列する流れを順に追っていく本だ。(Hans Reitzel Forlag; "Da Martins bestefar doede")

現代のデンマークでは子供たちに死や病気について語ることは不健康とみなされている。50年前までは、子供が葬式に行くのは普通のことだったそうだが、この20年ほど、そうさせない家庭が増えた。

作者である児童心理医たちは、その傾向をよくないことと考える。5,6歳の子供でも、生死について考えることもあれば、死による急激な家庭の変化を迎えることもある。幸いそれが成長してからのことであっても、子供のうちにきちんと考えて準備をしておかないと、喪失したものに対して対応ができなくなると強調している。

この本は学校や家庭での教育にも使えるよう、指導書付きだ。二人の作者はこの本の前にも、「お母さんが心を病んだ」「パパとママがけんかしたら」など、子供が身辺で起こる大きな変化に心の準備を促す絵本を出版している。

Monday, June 29, 2009

謎めいたドーピング・スキャンダル ~スウェーデン

*スウェーデンで「クリーン・スポーツ」キャンペーンの代表となっている元サッカー・ナショナルチームのマグヌス・ヘードマンが、ドーピングの疑惑をかけられている。

5月13日、彼は運転中に警察に止められる(ここはやや不明ながら、飲酒運転のチェックと思われる)。そして事情聴取の際に尿・血液サンプルが採取され、アナボリック・ステロイドが検出され、ズボンからはアナボリック・ステロイド・スタノゾロールを含む錠剤55錠が見つかった。

ところがヘードマンには、現時点ではアナボリック・ステロイドを摂取する意味がない。ナショナル・チームで最後にプレイしたのが2004年、現在はスポーツ活動はまったく行っておらず、ジムにさえ通っていないという。
ただ栄養補助として、アメリカ製の錠剤を服用。ヘードマン自身は、この栄養補助剤にステロイドが含まれていたのではないかとしている。

スウェーデンではスポーツ選手のドーピングは1991年から刑法上の犯罪。またステロイド剤の乱用も犯罪と規定されているが、スポーツ連盟が処罰を行い、一般の裁判手続きは行われない。

ヘードマンは今後どうするかをまだ検討中だが、意識的なステロイド乱用を認めて罪状がつくことは絶対にしたくないと言っている。「クリーン・スポーツ・キャンペーン」はヘードマンを代表から下ろすことにほぼ決定した。

Sunday, June 28, 2009

いじめ減少、けれども ~ デンマーク

*デンマークの小中学校で、いじめ防止対策の効果がようやく現われてきた。4年生から9年生を対象に調査を行ったところ、「過去2ヶ月にいじめられたか」の問いに対し、「はい」がこれまで16%だったのが、今回は11%に下がった。しかし「ハードコア」と呼ばれる、毎日いじめに遭う子供の数には大きな変化がない。これが今後の課題として残された。

コペンハーゲンの学校での試みは、上級の生徒が下級の生徒たちを「調停する」という方法。8年生、9年生の最上級学年が対象の場合、問題が複雑すぎる場合には、成人の調停者が事にあたる。いじめ、対立が生徒間に生じた場合、担任教師が当該の子供たちに調停を望むかどうかを尋ね、望む場合に調停人となる生徒が登場することになる。

この方法に効果があったことは今回の調査に現われているが、調停人を介して話し合うことができるくらいなら、いじめることの理不尽さも多少の時間をかければ理解できるだろうと思われる。デンマーク人の家庭であれば、おおよそこうした「話すこと・話し合うこと」の訓練はできているようだが、そうでない場合にも効果はあるのだろうか。

先日、外国出身の少女が他の外国出身の少年少女に身体的な暴力を振るわれる事件が起きた。この事件では少女の母親が「デンマークにいるというだけで、デンマークの行動規範を学んでいる子供ばかりではない。その子供たちの背景となる文化も踏まえた上での方策を考えるべき」と訴えている。